英語を話す人口がアメリカ・イギリスに次いで世界第3位と言われているフィリピンが、語学留学先として高い注目を集めるようになった原動力の一つに、日本の隣国・韓国の影響があります。韓国では、自社内でグローバルな人材を育成する制度が整っていない時期が長く、就職や転職の際に欧米への留学経験者など英語力に優れた人材が優遇される傾向が強く、それが韓国社会の根底にある学歴競争とフィットして、一気に英語学習への拍車がかかりました。
そこで注目された国が英語力が高くコストの安いフィリピンで、現在では韓国資本の語学スクールが500校も存在すると言われています。さらに韓国の大学との提携も進んでおり、フィリピンでの語学研修を終えると、大学の単位として換算されるなど、教育制度の整備も充実しています。日本では、まだまだ語学スクールでの勉強が大学の単位として認定されるまでに至っていませんが、国際的な人材を育成する方針を打ち出している大学は多く、この動きは日本にも波及する可能性があるでしょう。
日本から距離も近く、リーズナブルに英語を学ぶことができるフィリピンで留学を体験し、基礎的な英語を習得した後、欧米やオーストラリアなどで本格的な英語を学ぶ二ヵ国留学が人気を集め始めています。いきなり物価の高い欧米で勉強を始めるよりも、まずは基本的な英語をマンツーマンで学び、ある程度の英語を話せるような状態になってから、次のステップとして欧米などに留学する方法です。
この方法の優れた点は、初めての留学を物価や授業料の安いフィリピンで経験し、英語を話せるようになってから、さらにクオリティの高い英語力を身に付けるために、ワーキングホリデーなどの制度を利用して働きながら欧米で英語を学ぶことができる点です。グループレッスンが主流の欧米よりも、マンツーマンレッスンのフィリピン留学の方が会話力を向上させることができ、一通りの会話ができるようになってから、多くの生徒とディスカッションを行う授業の多い欧米に留学した方が、はるかに有意義で充実した留学生活を送ることができるでしょう。
次の留学先ありきで、そのトレーニングの意味も込めて、リーズナブルなフィリピンで基礎を磨くという方法を既に採用している日本人や韓国人は多く存在しています。もちろん、そのままフィリピンで更なるステップに踏み出す生徒もおり、可能性は無限に広がります。いずれにおいても、最初のプロセスとして、フィリピンを英語学習のスタート地点に掲げる留学生は、今後ますます増えるでしょう。